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2012.01.16

水戸岡鋭治のデザイン。

NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見た。水戸岡鋭治を特集した回である。彼は地方が抱える問題を鮮やかに解決できる数少ないデザイナーの1人だ。

彼が手がけた電車はどれもこれまでにない発想でデザインされていて、公共のものとして普遍的に使用されることで多くの九州人、または九州へ訪れる人々へ影響し続けている。

僕が特にお気に入りなのは「かもめ」と呼ばれる白い特急電車。まるでヨーロッパ生まれかと思わせるような美しい外観にフローリングと革張りの椅子を並べたインテリアは公共交通のデザインとして衝撃的なもので、かつそれが成熟に向かう日本の地方の風景と並べて驚くほど違和感がない。僕はまだ一度も乗ったことがないのだけれども、これに乗るために一度は長崎へ訪れたいと思うほど魅力的である。

本編の中で特集されている水戸岡鋭治の発言は、ある種デザイナーとして当たり前の内容ばかりだった。目新しいロジックは何もない。しかし45歳になるまで全く恵まれなかった仕事、それでも当たり前のことをずっと粘り強く続けたことの成果である今。このドキュメンタリーには、よりよいデザイナーになるための条件やヒントに溢れていると思う。

幅広い層の人におすすめできる1枚。