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2021.08.28

仮説を立てて考える

新型コロナウィルスの蔓延によって国内で初の緊急事態宣言が出てから、1年と4ヶ月が経過しました。これを長いと感じるか短いと捉えるかはなかなか難しいところで、日に日に余裕を失っていくSNSをはじめとしたインターネット上の言論空間にも愛想を尽かして、デジタルデトックスという行いを本格的に習慣化した方がよいのかもしれないと思い始めてもいます。

先日あるラジオで脳科学者のゲストが「多様性とはしんどいものである」と発言したことが記憶に残っています。ダイバーシティと言えば一見聞こえは優しいですが、実際には意見や価値観が対立する場面が目に見えて増えるわけで、均一化された価値観のコミュニティにいることに比べるとストレスに感じることもあるでしょう。少し考えればわかることですが、改めて一言で言い表されたときに自らのイマジネーションの欠落ぶりに気付かされてハッとするものがあります。

つまりダイバーシティを本気で許容することを考えたとき、そのコミュニティに関わる人々にどれだけのおおらかさや懐の深さ、違いへの好奇心があるかが重要になってきます。今のインターネット上の言論空間を見るとどうでしょうか?少なくとも僕にはなかなか簡単なことでないように見受けられますし、コロナが無い世界が戻ってきても難しいのでは無いかという悲壮感すらあります。「みんな」という概念がもう成立しないのであれば、それは諦めて各々が身の回りのコミュニティを如何に豊かにできるかに専念した方がよいかもしれません。

先のことよりも目の前の状況にストレスを大きく感じるとき、人は心の余裕を失なっていくのだと僕は考えています。このブログを書いている2021年8月末は政府や各現場の方々の努力で1億2000万回ものワクチンを接種しつつ、それだけではアフターコロナはやってこないかもしれないし、それを上回るソリューションがあるのかもよくわからないという絶望的な空気が世の中を支配しています。一体どこに出口があるのでしょうか。

そんな状況において少しでもポジティブにメンタルを保ちたいと考えたとき、この先の未来に対して仮説を立てておくことは大切だと思います。重要なのはその仮説が合っているか否かではありません。未来を予想して、それに基づいて目標を立て、達成していくという営みそのものが自らを安定させるのです。

日々様々な情報が錯綜する中で、まずは僕個人が予想する日本の近未来像を書いてみましょう。

■ 今年の10〜11月あたりにコロナ疲れが最大値に達する
→ 希望者全員にワクチンが概ね行き渡ると予想されるタイミングです。しかし現在主流になっているデルタ枠の感染力や段々判明してきているワクチンの効果を加味すると、重傷者と死亡者は下がりつつも感染者数は結局高止まりすると見込んでいます。もう感染者数を減らすことは無理じゃないか?というのが共通認識になって、本格的にゼロコロナを諦める雰囲気になるのではないでしょうか

■ 同時期から海外旅行は部分的にオープンに
お盆のANAのハワイ線が黒字を出したというニュースも見かけて、日本側の隔離免除の方針が決まってくれば気軽に行ける国も増えると思います。ただ、相対的に間違いなく日本人が(経済的に)貧しくなっているという現実も同時に見せつけられそうです。

■ SNSに本音やプライベートを書かない人が増える
→ 最近の炎上の激しさを見て、有名人でなくてもリスク意識が広がっていくのではと予想しています。本音や本当に楽しいことは気心知れた仲間と非公開またはオフラインでこっそり語り合うのが主流で、いちばん大事なことはオープンな場では語られない、まさにインターネット誕生前のような世界です。

■ 来年の今ごろは日常生活において、ほとんどの人はコロナを忘れている
→ これは「コロナのある世界に慣れる」という意味も含まれています。当初僕はウィズコロナとアフターコロナは別の単語だと考えていましたが、もしかするとほぼ同じ意味なのではないかと意見を改めるようになりました。

大きくは今年が一番困難な時期、来年から(いろいろあっても)相当正常化するというのが僕の見方でした。それに対して改めて僕が代表を務める会社の方向性を整理してみます。

■ いいものを適正価格で作り続けるという基本の維持を怠らない
→ これは生存戦略でもあります。僕が上京したタイミングがちょうどリーマンショック後だったこともあって、不況に強いあり方、というのはずっと意識してきました。その結果がこの基本路線であり、ありがたいことにコロナ禍によってそれが大筋間違いでないことが確認できました。これには日々のメンテナンスが欠かせないため、怠らないという意味です。

■ スタッフの給料が毎年上がっていくのが経営者としての最低合格ライン
→ いきなりチープな文言に見えますが、先程少し触れた「貧しくなっていく日本」という現実に対して、どんなに小さくてもいいので風穴を開けたいという個人的な強い思いがあります。それを達成するためにはまだたくさんできることが残されている、というのが現在の感想です。

■ 長い時間をかけてゆっくりと大きくしていく
→ 誰も予想できないような危機が、今後も僕たちが現役であるうちに何回か起こると考えるのが自然です。そんな場面でも持続可能性に問題が出ないようなあり方を考えたとき、成長を諦めないが決して急がないのがベストバランスだと考えています。

■ 良質なコミュニティづくり
→ これは街づくりのような大きなものではありません。コロナによってコミュニティの大切さ、直接会って話すことの豊かさも再認識されたと思います。コミュニティとは非金銭的なレバレッジとも言えるかもしれませんね。これは僕が知る限り成長する企業の最低条件であって、シンプルに楽しい、と思える場面が増えていくためにもぜひがんばりたいところです。

ここまで書いて気がついたのですが、今日のブログはほとんど僕が気心知れた仲間と飲んでいるときに語るような内容になりました。さすがに最近は誰かを誘ってお酒を飲むことも控えていますが、僕はコロナのある世界と無い世界なら、後者が大好きな人間です。その世界が訪れるまでに前向きさを失っていないように、ひさびさに書いたこの2500文字超の極めて個人的なテキストをここに保存しておくことにします。