BLOG.MABATAKI.JP

2020.02.02

ソール・ライターと白髪一雄

気がつくとずっとブログを放置してしまいました。仕事が忙しいから、と言ってしまえば全てが納得可能に感じますが、それでは本当によいプレイヤーになれないのではないかとも最近は思います。良質なアウトプットをしたいならインプットが大事、と昔から言い古されている言葉がありますが、一見してそういった「おじさん臭い」言葉にこそ大事なものが潜んでいるのかしれません。
いい意味で僕が手をつけなくても現場が順調に進行する場面も増えてきたので、今年は積極的にイベントや展覧会をチェックするようになりました。その中でも最近特に見てよかったものを2つご紹介。
 
 

初回がとても好評だったようで、2回目の開催となった今回も場所は同じく渋谷Bunkamura。展示作品は前回と9割以上入れ替わっているので、リピーターの方でも楽しめると思います。

70年代のNew Color以前に本格的な美術としてのカラー写真を撮っていたという点が特に評価されているようですが、僕はむしろそれ以前のモノクロプリントを見るために訪れました。
カラーの方は写真集の印刷でもなかなかの再現度なのですが、モノクロは昔ながらの銀塩プリントによるトーンの豊かさがまるで違って、ずっと見ていたくなる作品ばかり。やはり写真とは光と影こそがその根源なのだと再認識できて、その後にカラー写真を見るとさらにそれを確信。特に1950年代の作品が多くて、その頃のカラーフィルムは彩度が低い分よりモノクロ写真的な「塊の魅力」があります。

また、コンタクトシートの展示も非常に興味深いものでした。同じような場面を何枚も追っている箇所があったり、「普通のカメラマン」そのものの行動パターンが多く見られたからです。ソール・ライターも天才でなく努力の人なのだとしたら、それは多くの作り手にとって勇気付けられる事実なのではないでしょうか。

会期は2020年3月8日まで。量もクオリティも申し分のない展覧会なので、写真に興味のある方はぜひ。

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saulleiter/
 
 

具体(GUTAI)と呼ばれる美術活動の存在を僕が知ったのはニューヨーク滞在中の時でした。初めて訪れたグッゲンハイム美術館がまさにそれを大きく取り上げていた時期で、まさか日本のアートをアメリカで教わることになるとは、という驚きとともに印象に残っています。

それからおよそ7年後の再会は東京の初台オペラシティにて。大判の絵画だけで約90点というボリュームでものすごい見応え。いわゆるコンセプチュアルアートと違ってモノ的な魅力がとても高く、予備知識無しでも十分に楽しめる展覧会だと思います。

ドローイングなどの関連展示もあって、人物クロッキーを見ると(当たり前ですが)絵がうまい人なんだなと再確認。好きな人は本当に何時間も観ていられる良質な回顧展になっていると思いました。

こちらの会期は2020年3月22日まで。初台という立地もあってかあまり混雑はしていなくて、その分ゆったりと作品と対峙することができます。

https://www.operacity.jp/ag/exh229/