2018.11.18
オーストラリアを訪れて
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1週間ほどお休みを頂いて初めてのオーストラリアを訪れてきました。年々自分のための時間を作ることが難しくなっていく中で、半ば強行するような形で航空券を予約。このブログを書いている日の朝に帰国したばかりなのですが、帰りの空港ですでに少し仕事モードに戻っていたため、不思議なほど過去のことのように思います。
僕が今回の渡航先にオーストラリアを選んだ理由はいくつかありますが、何よりも南半球に一度も訪れたことが無いという事実がありました。今まで20カ国以上に滞在しておきながらそれらはすべて北半球または赤道直下で、つまり地球のもう半分については何も知らなかったのです。
誰もが知る国なのにヨーロッパやアメリカに比べてどうしても印象が薄くて、実際に日本からの渡航者も少ない国。こういう場所こそ、自分の足で歩いて見る価値があるはずです。
シドニーは美しい街でしたが、同時に僕の頭をかなり混乱させるものもありました。確かに白人が開拓した欧米的なフレームの都市ではありますが、すれ違う人々の半分は話している言語が公用語のはずの英語ではなく、それこそあらゆる地域の言語を聞き取ることができたのです。食についても、ホテルの近所のケバブ屋さんに入ってみたらおよそ西洋人や日本人の好みに合わせたものでは無い本場のもので驚きました。Central Business Districtに密集する高層ビル群はさながら香港のような狂気も感じて、都市や国のアイデンティティーについて考えさせられたのです。
神話の時代から歴史が続いている日本ではあまり普段考えないことですし、同じように白人の開拓者によって生み出されたニューヨークという都市も、その街らしさというキャラクターはもっとあるはずです。多様性を究極的に受け入れると都市はこういう形になる、という一例なのかもしれません。
メルボルンもシドニーと同様に様々な文化が同居する街並みですが、こちらの方がよりヨーロッパ的かもしれません。トラムを縦横無尽に走らせて、しかもCBD内では無料で乗車できるという大胆な交通政策は他のどの街にも無いものでした。おかげで典型的なグリッドレイアウトの道路網ながら、歩いていてとても魅力的な都市景観を生み出しています。
今回は初めて海外で車も運転しました。せっかくのオーストラリアなので都市以外も見てみたかったのと、日本と同じ左側通行の国なら運転も大丈夫だろうという予想から。国内で最初に車を購入したときに「いつでも、どこでも好きなところに行ける」という今まで得たことのなかった感覚に驚いた記憶がありますが、今回もそれに迫るドキドキのエクスペリエンス。
Twelve Apostlesという目的地は極めて定番のようですが、これまた定番のGreat Ocean Roadをずっと走るのではなく、Google Mapsと相談して何気ない田舎道を訪れてみたり、ルート選定はとにかく気ままに。一般道で法定速度100km/hなんて最初は狂気の沙汰かと思いましたが、意外とすぐ慣れるものです。
国としての歴史がまだ200年強しかなかったり、今でこそ多様な文化が同居していながら実は約40年前まで人種差別が前提の国家だったり、そもそも他の欧米諸国から地理的に離れすぎていたり、僕にとって何かと不思議の国だったオーストラリア。実は帰ってきた今もあまりそれらの謎が消化できていないのですが、少なくとも、訪れてみて発見がいくつもあったことは間違いありません。
考えてみれば、日本だってまだ明治維新からせいぜい150年。インターネットが出てきてから世の中の流れが早くなったという人がいますが、それまでの歴史を見ても5年や10年で天から地に落ちるような出来事はいくつもありました(それに、インターネットの普及の走りとなったWindows95の発売はもう20年以上前です)。
逆に、40年もあればそれまで抱えていた摩擦や軋轢もかなりが解決するということなのかもしれません。僕が見る限り、人類は21世紀になっても人種や宗教による対立という大きな問題をクリアできていませんが、それもあと40年くらい経てば解消されていくのでしょうか。