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2013.05.03

香港/マカオ/深圳

香港へ行ってきました。この街は2年前にも訪れていて、僕にとってフランスのパリと並んでもっとも強烈な印象を受けた街のひとつです。

香港の魅力といえば特異で濃厚な都市空間そのもの。蜂の巣のように圧倒的な密度の摩天楼の足元ではあらゆる人種が街中を忙しく歩いていて、人々の暮らしがありのままに転がっています。それらを見て歩く日々はとても刺激的で、豊かさについて考えさせられます。この街で貧しさは微塵も感じられず、ただその力強さに打たれて、まるでヒーロー映画を見たかのように体が熱くなっている自分に気づくのです。

対照的に、今回初めて訪れたマカオは香港から至近距離にも関わらず驚くほど質の違う街でした。水と油が無理矢理混ざったような不思議な都市で、旧市街ではポルトガル+長崎の軍艦島ともいえる信じがたい景観にあっけないほど素朴な住人たちの様子が見られる一方、大味で稚拙ともいえる造りの新市街のカジノ地区へ大陸から大勢の中国人が駆けつけている様に、この街はもうすでに魂を売ってしまったのではないかと複雑な気分にもなりました。

次の日に訪れた深圳ではもっとダイレクトに大陸中国の印象を僕に刻むことになりました。香港側の国境から深圳に入った途端、街には稚拙さ、ちぐはぐさ、貧しさばかりが目につくようになり、未知な土地での経験は常に興味深いものである、という今までの僕のスタンスをあっさり覆してしまいました。1分でも早く香港に戻りたいと思った僕はせっかく両替した人民元もほとんど使わず、結局往復の地下鉄代4元のみ支払って来た道を引き返してしまったのです。
香港へ再入国してから休憩に入ったスターバックスでは窓越しに香港と中国大陸を結ぶ唯一の鉄橋がすぐそこに見れて、しばらく眺めているとその線路を渡って不法入国しようとした数人が警備員に取り押さえられる場面に遭遇しました。今までで最も「国境」を強く意識させられたシーンです。

今回こうして周囲とともに見て回ることで、いかに香港という街が豊かで、それが奇跡的な経緯で成り立っているのかを実感できたと思います。僕はこの街が大好きです。いろいろ問題があるようですが、どうか香港の美しさがこの先も続くよう願わずにはいられません。