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2012.07.12

Leica M4。

2012年4月にM6を買って以来その使いやすさと質感に没頭してしまい、5月にもう1台ライカを買ってしまった。代わりに使わなくなった機材を根こそぎ売りに出したので、おかげさまで棚がずいぶんすっきりとした。

M6は1984年発売で露出計もついた比較的新しい仕様である一方、今回のM4は露出計すらついていないフルメカニカル機で発売は1967年。なんと40年以上も前に発売されたカメラ。しかし両者の機械的な差異は意外と少ないようで、「M4までがライカだ」という年配層のブログなんかで見かけるコメントほどの感動はないと思う(僕のM4は1968年製、M6は1986製、いわゆるM6TTL以降を触ると確かにつまらない印象を受けた)。シャッター音はM4の方が金属的な余韻が残って少し上品だけど、露出計の有無という撮影メソッドに直結するような違いほどにインパクトはない。

M4を買うときは5台ほどの同価格帯の中古品を触り比べて買ったのだけれど、さすがに60年代のカメラだからか感触の個体差がかなりあって、その中で一番バランスがいいものを選んだ。オーバーホールすれば見違えるようによくなるのだろうか。先日調整から帰ってきたM6のファインダーの見えやすさや感触の滑らかさには衝撃を受けた。

なぜわざわざそんなカメラを選んだのかというと、なるべく使い勝手が近いカメラを2台持ちたかったこと、それと露出計すらからも開放された自由な状態で写真を撮ってみたいという思いからだ。
例えば晴れた昼間の日向ならISO400のフィルムでF8、シャッタースピードは1/1000秒でまず間違いなく撮れるし、日陰なら2段落としてF4、夜の渋谷ならF2〜4で1/60秒…という感じで、露出に関する基礎知識があれば意外と迷わない。保険で無料のiPhone用露出計アプリは持っているけれども。

何よりもM4が機械設計と職人技術の粋を濃縮しているとすれば、M6はそれに賢明なデザイナーが加わったプロダクトだと思う。どちらも非常に洗練された製品だけど、前者は端正、後者はモダンという言葉がよく似合う。趣味のお話なのに、結局最後は職業柄が出てしまったのだ。

ライカを買ってから事務所で仕事に煮詰まるとよくカメラを持って渋谷を散歩するようになった。おかげさまで事務所を移転してからまだ半年しか経ってないのに、渋谷近辺の道はほとんど完璧に覚えてしまっている。

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