2017.03.24
インターネットと出会って17年。
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1999年、僕が中学2年生の時。父親がボーナスで購入したIBMのコンピュータによって、僕は生まれて初めてインターネットの世界に触れました。
OSはWindows98で今のスマートフォンの足元にも及ばない性能でしたが、Internet Explorerというブラウザが標準でインストールされていること、ケーブルテレビが提供する定額で使い放題のブロードバンド回線がつながっていたことで、17年後の今と比べても遜色のないインターネット環境が実家に揃っていました。
当時の中学生の娯楽といえば漫画やゲーム、テレビが普通だったと思いますが、僕の場合はこの時点から何よりもインターネットに費やす時間が主になっていたと思います。
その頃のウェブの世界は今と全然違う様相を呈していて、無数の個人が独学でHTMLを学習してホームページを立ち上げ、トップページにはアクセスカウンターがあり、大抵はレンタルBBS(誰もが書き込める掲示板)も設置されていました。今から思うとまさに原始時代ですが、牧歌的で、画面の向こう側にいる人々の体温が感じられるメディアでした。
僕がウェブ制作を仕事とし始めた2007年頃はそれまでに比べると状況が変わりますが、まだまだ現在のようにマーケティングやUXなどの理屈が確立していなかったため、Adobe Flashという敷居が低く自由なツールの台頭も手伝って、インターネットは様々な表現的実験がされる場所でした。スタークリエイターも多数登場し、自分もこんな楽しそうな仕事をしてみたい、と若者が志すには十分な目標になっていたと思います。mixiなどの新しいコミュニケーションプラットフォームも登場し、インターネットこそがフロンティアだと多くの人が認識する時代になっていました。
iPhoneが登場し、本格的なモバイル環境が普及し始めた2010年頃から、インターネットにおける「理屈」が確立していきます。ウェブ制作はより高度なスキルが必要になり、かつては皆スタートアップだった時代に比べるとビジネスプレイヤーの勝者と敗者もかなり固定化されてきました。Googleなどが推し進めたフリー文化の対義語として、何らかの方法でサービスの対価を得る有料モデルも増えていき、回線にさえつなげば無限の世界が広がる感覚が得られたかつてのインターネットと比べると、ある意味でリアルワールドの光景にかなり接近してきたのではないかと思います。
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かつては人々の余暇としてのフィールドだったものが産業化して、多くの切実な「生活」が乗りかかったところで、劇的にその質が変貌していきました。17年ほどインターネットを片隅から見てきた僕ですが、最近その世界に対する興味が少しずつ薄れているのを実感しています。
しかし一方で、やはり人間は達成感や肯定感を抜きに生きていくことができない生き物です。スマホ1台でかなりのことができるようになった今、逆に面倒でローテクな製品が流行る傾向が出てきていますし、理屈に支配されゆく世界に対する潜在的な反抗というのは、良くも悪くもこれからどんどんと表面化していくのかもしれません。
僕はまだ、「人間的な」インターネットの可能性が途絶えたわけでは無いと考えています。