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2016.03.11

Leica M Typ262を購入しました

iPhone 5sで撮影

2012年にライカM6を手に入れて以来、デジタルはiPhoneくらいしか使っていないという状況がずっと続いていましたが、思い立って本格的なデジタルカメラを購入しました。M Typ262は2015年末に発売されたばかりの新機種で、現状ウェブ上にもレビューがほとんど出ていないため、参考までに少し触ってみた印象をレビューしてみたいと思います。

何せ最近のデジカメに疎い人間ですので、比較対象は専らM型のフィルムライカになります。

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デジカメにしてはかなりシンプル

永らく絞りとシャッタースピード、フォーカスのみを決めて写真を撮っていた僕から見て、最近のデジカメはあまりにも複雑なものに写っていました。多すぎるボタン類は何から押していいのかすぐに理解できないですし、メニューで設定できる項目も膨大で、オートで撮れてお手軽なはずのデジカメなのに、果たしてこんなにたくさんの機能は本当に必要なのか?とずっと疑問に思っていました。

そういう意味でこのTyp262はデジタルカメラとして恐ろしくシンプルです。Typ240から動画機能やライブビューが省略されている点は既出ですが、メニュー項目も非常に少なく簡単に理解でき、撮影することに対する集中力を削がないという意味で優れています。

コンパクトカメラに比べるとシャッタースピードを決めるインターフェイスが扱いやすく、一眼レフよりも小さく控えめなルックスに見えるため、自然に写真を撮ることができるという点ではM型フィルムライカと全く同じメリットがありますね。

Tokyo / Leica M (Typ262) + Summicron 35mm/f2 (2nd) + VSCO Film

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M型フィルムライカと似てるところ、違うところ

M型ライカのレンジファインダーに慣れている方ならほとんど違和感なく使えると思います。ただし本体の厚みが増えたことによる使い心地の差はある印象で、あの手に吸い付くような、ずっと持っていたくなる本体のフォルムと巻き上げレバーの感触を知っていると、やはりそれが恋しくなってしまうことも事実。

シャッター音が静かでないという意見を見かけますが、布幕横走りの柔軟で官能的な音でないにせよ、十分に上品な音質だと思います(Typ240とは比較していないのでわかりません)。音量についてもM6と同程度に聞こえます。

細かいところでは、ブライトフレームが採光式でなくLEDになったため、電源が入っていない状態でフレームが非表示になりました。慣れれば問題ありませんが、せっかく電子式になったのですから、75mmや135mmなど使用しない枠を消すような機能があるともっと画面に集中できますね。

撮れる写真については(画質という意味でなく)フィルムとデジタルでほとんど変化を感じません。しかしアンダーに強いデジタルの特性があるため、ISO400のフィルムを常用している僕にとって、夜のシーンの鮮明さは独特に感じました。日本製一眼レフのようにISO数万というような高感度耐性はないですが、ほとんどのユーザにとってそれは意味のある差ではないでしょう。

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高すぎる値段

2016年3月現在でおよそ85万円という価格は明らかに高すぎます。半額くらいが妥当ではないでしょうか。これよりも遥かにリーズナブルな価格で中古のフィルムライカが流通していますし、Typ262を無理して買うくらいならフィルム版を購入して使い倒す方が余程すばらしい体験を期待できると思います。

そういう意味でTyp262はM型フィルムライカをすでに使っている層で、その感覚をそのままデジタルにも持ち込みたいユーザー向けのプロダクトですね。僕の場合はebayで新品が国内より数十万円ほど安く売られていたため輸入に踏み切りましたが、それでも道具として気兼ねなく使い倒せるような価格ではありません。

Tokyo / Leica M (Typ262) + Summicron 35mm/f2 (2nd) + VSCO Film

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M型フィルムライカのユーザーのためのデジタルカメラ

今や32GBのSDカードが2,000円ほどで買える時代になり、36枚撮りのKodak PORTRAが1本1,000円を超えることを考えると、凄まじくデジタルカメラの世界は進化しました。32GBといえば、Typ262の場合RAW形式でも1,000枚は撮影できる計算です。

デジタル写真を管理するコンピュータもソフトウエアも進化しましたし、例えフィルムユーザーだとしても、ほとんどの方はネガやポジをスキャンしてデジタル保存されているのではないでしょうか。もはや「フィルムかデジタルか」を語る時代ですらないと感じます。

それでも数日Typ262を使いながら思ったのは、やはりフィルムのライカも手放せないなということでした。M型フィルムライカは身体の延長のように自然に撮影できるカメラで、デジタルになってもそうであり続けるかという点については、まだわからないというのが正直なところだからです。しばらく使い込んでみてから、またレビューを書くかもしれません。

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