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2014.12.24

28歳、車の免許を取りに行く。

今まで車に乗ることにまるで興味がなかった僕が、28歳にして初めて自動車教習学校に通っています。授業中に飲み物のペットボトルを取り出しただけで教官から注意されたり、試験という関門があるような状況が久しぶりで、おそらくずっと世の中の「普通」から離れた暮らしをしている僕にとって、かなり新鮮な日々。デザイナーという職業において既存のルールを守ることは必ずしも評価につながらず、人と同じであることが要求されるとは限らないからです。言われたことを鵜呑みにすることも大体マイナスに作用します。

今回僕は免許を取るだけでなく自分の車を買うまでをセットで目標にしているのですが、その割に車に関する知識がまるでありませんでした。なので教習所を無事に卒業するまでのモチベーションを保つ意味でも、今世の中にどんな車があるのか、初めて真剣に観察し始めています。そして自分が「乗りたい」と強く思う車が本当に少ないと気づくことに。

以前から「若者の車離れ」というトピックをよく耳にします。今は車以外の交通機関が発達していること、娯楽手段の多様化、車に乗っていればとりあえずモテた(らしい)かつての状況からの変化など、原因を挙げればいくつも考えられますが、乗りたいと思う車がないというのもまた否定できない大きな事実なのだと思います。家電売場で見かけるなぜか赤い色合いの炊飯器などと一緒で、根本的な問題に立ち向かっている製品が少ないように感じるのです。

想像ですが例えばスバル360を見た当時の人々は、自らがアクセルを踏んで自由に走って行く様を初めてリアルに予感できたという意味で大きなインパクトがあったのではないでしょうか。そういった走る楽しさという要素を現在の日本車メーカーはスポーツカーというカテゴリに委ねているように見えますが、僕はこれを正しくない判断だと思います。排気量が360ccだろうが自分の意志で動かしているという実感に変わりは無いはずなのだから。

車に限らないことですが、ブラッシュアップという過程は得てしてより深く狭い井戸を掘り下げる作業に陥りがちです。そして掘り下げるあまり、隣の井戸のことすらよく理解できないという状況に。もっとモノづくりに優雅な視点を取り入れてもよいのではないでしょうか。