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2011.07.19

コクリコ坂から

ぼーっとTwitterを眺めていたら、最近スタジオジブリの新作「コクリコ坂から」が上映開始されたことを知った。たまたま少し手を持て余していた僕はその場でオンラインからチケットを押さえて、夜の新宿ピカデリーへ。

舞台は1963年。東京オリンピックを翌年に控え、日本という国が劇的に変化していく時代。今から数えるとおよそ50年前。
まず最初に印象的だったのが、描かれている人々の生活サイクルや価値観があまりにも現代とかけ離れている点。まるで違う国の出来事を見ているかのようだ。確かに現代と繋がっているんだな、と認識出来るのはわずか数秒だけフレームインする東京タワーくらい。

描かれている風景はとてもノスタルジックながら、決して過去を肯定するのみの映画では無さそうだ。劇中では後に大問題となる煙突からの光化学スモッグ等も描写されている。

総じてこの映画は「紅の豚」と「耳をすませば」の間という感想だ。年代設定はほぼ中間だし、喪失感が物語を強める点が「紅の豚」に類似していて、現実に近い世界で起こる共感型青春ストーリーという意味では「耳をすませば」に近い。

否定でも肯定でもない、映画として特に新鮮な要素も見当たらない今作はやや中身が薄いのでは?という意見をどこかで見かけたけれども、僕は決してそうでないと思う。この映画で中身が無いというのであれば、上に挙げた2作品も同じく中身が無いことになってしまうはずだからだ。

時代をとても意識しているためか、劇中のセリフは現代とかけ離れた言い回しが大半。このことから見ても、今と全く違う(しかし事実としては繋がっている)時代そのものにファンタジーを感じる映画なのではないだろうか。そして過去の喪失に嘆くのではなく、少しはこの主人公達みたいに力強く生きてみようか、と思えるくらいにはポジティブな映画でもある。

何よりも宮崎吾朗の監督作品ってどうなの?という不安をいい意味で裏切られたと思う。ぜひ劇場でご覧を。

コクリコ坂から

※映画の本題からは外れるけれども、劇中の東京都内のシーンで随所に見かける東京オリンピックのポスター。これを見て恥ずかしながら初めて亀倉雄策の偉大さをリアルに理解できた。今とは比較にならないほど雑多で洗練されていない街の中で掲載される、迷いなく力強いビジュアル。そこからは輝かしい未来への期待や肯定が明確に感じ取られて、日本中を沸かせるに相応しい名作。