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2011.07.13

紅の豚

舞台は第一次世界大戦後、世界恐慌の波に揉まれているイタリアと、それに隣接して広がるアドリア海。

猛烈なインフレによる経済危機やファシズムの台頭、戦争による理不尽な死や別れの絶えない時代の悲劇に揉まれながらも、力強く自由に、または美しく生きる人々の物語。
こういうことを”ロマン”と呼ぶのかと思い、それから最近、何度も繰り返し見ている映画がこの「紅の豚」だ。

以前、子どもの頃に見たときは”赤い飛行機に乗った豚がかっこいい”という漠然とした感想しか持っていなかった。それからずっと僕の中での「紅の豚」は輪郭をほぼ消失した曖昧な記憶であり続けたのだけれども、まるでピントリングを回してファインダーにすっと浮かび上がるシャープな像のように、それは取り戻せるもののようだ。確かに見たことのある映画に違いない。

これは素晴らしいことなんだと思う。こうやって今になって同じ作品に再び触れて感化されることで、結果この作品は僕に十数年間も影響し続けたことと同義になるからだ。これほど長い間影響するものを生むことが、一体どれだけの割合の作り手にできるだろうか?

「紅の豚」は豊潤なファンタジーであって、テーマについて考え悩むような映画ではない。弱々しい自分を説教をしてくれる訳でもなく、代わりに無垢な憧れの感覚を思い出させてくれる映画だ。

これからも何度も見続けるのだろうなー。