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2011.06.28

ジェイミーのスクール・ディナー

僕はイギリスという国を一度も訪れたことがないのだけれど、とにかくイギリスの食事は不味いという話はよく耳にする。「イギリス名物といえばフィッシュアンドチップス」みたいな会話には嘲笑の意味すら込められているようにも思う。そんな国の食育にクローズアップしたドキュメンタリーがこの「ジェイミーのスクール・ディナー」だ。

スクールディナー、つまり学校の給食のことで、記録されている映像を見る限りイギリスの給食事情はとにかく破滅的。政府と癒着した民間企業が提供する”無料給食”の材料費はわずか80円。子どもたちは毎日提供されるジャンクフードを疑い無く食べ続ける。まともな食育が無いため生の野菜や果物はほぼ見たことがないし、見てもそれが何という名前なのかすらわからない。そんな現状に、人気シェフのジェイミー・オリヴァーが「給食改革」を掲げ挑戦していくという内容だ。

生まれつきジャンクフードしか食べさせてもらえなかった子どもたちは、ジェイミーが提供する彩り豊かで健康的な食事を頑なに拒み続ける。一旦はジャンクと決別できた子どもも、久しぶりにそれを口にした瞬間、まるで麻薬のように再び取り憑かれてしまう。考えれば考えるほど恐ろしい映像だ。
そして教育の本当の恐ろしさはそれが”循環”していくことにある。つまりジャンクフードしか知らずに親になってしまった大人たちは、自らの子どももジャンクフードで育ててしまう―――。

話は大きく変わるけれども、例えばなぜ隣国の台湾には親日的な人が多く、またそれがしっくり来ない日本人も多いのだろう?日本の学校では大日本帝国は近隣諸国を支配した”悪い国”という教育があるけど、台湾では自国の繁栄のために必要なインフラをもたらした”良い国”という教育があるためではないだろうか。
去年、台北市内で乗ったタクシーの中年ドライバーの言葉が印象的だった。「オレはとにかく中国が大っ嫌いなんだよ。台湾はもう一度日本の領土になるべきなんだ」と。

ただ泣きじゃくるだけの赤ん坊が教育によって言葉を覚え、知識と思想を持ち、次第に世の中を支える大人になっていく。だから教育は尊くて、大きな影響を与え、同時に暴力的にもなり得る。
魅力的な社会や文化を形成するための要は教育にこそあるのではないかと、つくづく痛感させられる良作ドキュメンタリーでした。

ジェイミーのスクール・ディナー